奈河静香『小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ』

小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ―下読み嬢の告白

小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ―下読み嬢の告白

およそ20年前に発売された『小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ』を読み終わりました。
タイトルからすれば新人賞を目指している作家志望者向けの本のようですが......。

結論:ハウツー本としては役に立たない!


題名に「こうお獲り遊ばせ」なんて書いてあるし、帯には「新人賞獲得講座」と銘打っているので、
いかにも初心者のためのノウハウが書かれていると思いますよね。

「新人賞はこのようにお獲りください」→どのように?

こう疑問を持って中身を読んでいくわけですが、
執筆する際の具体的な手順や方法や技術といった話はありません。

その点、著者自身が告白しています。

かく申すわたくしも、いまだかつて小説を書いたこともなければ、書こうと思ったことすらない、一介の単なる小説好きでございます。小説の書き方を云々出来るような人間ではございません。(p20)

ならば、なぜこんな題名にしたんでしょう?

おそらく、本書にもインタビュイーとして登場している久美沙織の『新人賞の獲り方おしえます』が
念頭にあったのだと思います。

二匹目のドジョウを狙ったのか、パロディのつもりなのか知りませんが、
久美のそれとは方向性が異なるものだということは、ここで指摘しておきます。

本書はハウツー本というより、下読み人のエッセイとして読まれるべきものです。
「小説以前」の応募作品があまりに多いという事実を、
著者の底意地の悪さを感じさせる筆致で、具体例を通して語ってくれます。

そこから、わずかばかりの小説作法を学習することも人によっては可能でしょうが、
この本でなければ学ぶことができないものは一切ありません。

ニッチな職業エッセイを読み物として楽しみたい方だけが、手に取ってみてはいかがでしょうか。
いかんせん情報が古いですが……。


特別付録の「作家出世双六」は図解フォルダに突っ込んでおきました。


目次

本書の目次

  • 序章  一次選考こと始め
  • 第一章 応募小説百花繚乱
  • 第二章 原稿用紙に向かう前に
  • 第三章 応募作品投函の前に
  • 第四章 下読みとは何か
  • 第五章 小説新人賞の構造
  • 第六章 新人賞獲得講座
  • 特別ふろく 文学賞出世双六

著者略歴

奈河静香(ながわ・しずか)
高度経済成長の最中、東京都に生まれる。
世田谷区・成城の『ゆかり幼稚園』ひよこ組、赤ことり組、白ばら組を経て、
某私立小学校に入学。
・・・・・・以降の経歴は、ご勘弁下さいまし。